息継ぎ

 

珍しくマニキュア女子になった

 

 

先月 お義兄さんの結婚式があったからだ

 

 

専ら普段は素のままの私の爪

 

高校生くらいまでは、楽しんで色とりどりに塗ったくっていたけれど

 

大人になってからは、コーティングされる圧迫感が不快でできなくなった

 

 

どのみち、この仕事、技法を選ぶと爪は傷だらけになってしまい

 

無垢のままが好都合だし割にあっている

 

 

 

 

華やかな会の時だけ この日は、と張り切ってみる

 

 

何年かぶりに色を付けたくなって

 

THREEでドレスと同じ色みのものを買った

 

 

なんとも新鮮

 

 

年々ゴツゴツに骨張っていく手が、ほんの少しだけ色気を帯びた気がした

 

 

 

 

翌日は、個展が開催された大阪・阪急うめだ本店へ

 

 

 

 

帰宅後、いつものように金槌を握り、制作を

 

 

私の眼に映るその光景が、これまた新鮮だ

 

 

肌、金属、金槌 いってみればどれもくすんだトーンの中に

 

10本の青緑が見え隠れ

 

差し色になった

 

 

どうせ すぐに剥がれるんだろう

 

 

案の定 棒ヤスリを使った途端に爪の端から、青緑は離脱していった

 

 

金属板を触れる度

 

鋭利な断面で瞬く間に細い線が刻まれていく

 

 

痕跡は増え、目をやるうち

 

これが私の選んだ道  と

 

意識の遠くで悟っている自分に、少し笑えた

 

 

 

以後 数日間は、工程の関係もあって割と綺麗な状態で維持ができた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、この冬初めて雪が降った

 

 

漢字は違えど同じ名前に生まれたからか

 

ふわりと漂い降りてくるそれに、笑顔が溢れる

 

 

今季は拝めないのかと思って寂しかったんだよ

 

地球、ありがとう

 

頑張ってるよね、懸命に

 

暖冬 暖冬 って  底力見せてやるぜってね

 

きっと、まだこの星は私たちを見放しなんてなんかいない

 

 

 

このキーボードを打つ指も青ざめ、さっきから打ち間違ってばかり

 

それでも凍てつく空気に安堵する

 

 

 

 

 

 

 

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